- 2026年3月14日
- 2026年3月8日
甲状腺と心臓は深い関係があります ― 動悸・不整脈の原因になることも
「最近、動悸がする」「脈が速い」「疲れやすい」。
このような症状で循環器内科を受診される患者さんは多くいらっしゃいます。動悸や不整脈の原因としては心臓の病気がよく知られていますが、実は甲状腺の病気が原因となることも少なくありません。
甲状腺は首の前にある小さな臓器ですが、体の代謝を調整する重要なホルモンを分泌しています。このホルモンは全身の臓器に影響を与えますが、特に心臓は甲状腺ホルモンの影響を受けやすい臓器です。
今回は、**「心臓と甲状腺疾患の関係」**について、患者さんにもわかりやすく解説します。
甲状腺とはどんな臓器?
甲状腺は首の前、のどぼとけの下にある蝶のような形をした臓器です。ここから分泌される甲状腺ホルモンは、体のエネルギー代謝や体温、心拍数などを調整する働きをしています。
このホルモンの量が多すぎたり少なすぎたりすると、全身にさまざまな症状が現れます。特に心臓では、脈拍や血圧、不整脈などに影響を及ぼします。
甲状腺の病気は大きく分けて次の2つがあります。
- 甲状腺機能亢進症(ホルモンが多い)
- 甲状腺機能低下症(ホルモンが少ない)
それぞれが心臓にどのような影響を与えるのかを見ていきましょう。
甲状腺機能亢進症 ― 動悸や不整脈の原因になる
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰になる病気です。代表的な疾患としてバセドウ病があります。
ホルモンが多くなると体の代謝が過剰になり、心臓も必要以上に働くようになります。その結果、次のような症状が起こります。
- 動悸
- 脈が速い(頻脈)
- 不整脈
- 息切れ
- 手の震え
- 体重減少
- 暑がり・汗が多い
循環器内科でよく問題になるのが**不整脈(特に心房細動)**です。甲状腺機能亢進症では心臓の電気活動が不安定になり、心房細動が起こりやすくなります。
心房細動は脳梗塞の原因となることもあるため注意が必要です。
実際に、動悸や脈の乱れをきっかけに循環器内科を受診し、検査で甲状腺の病気が見つかる患者さんも少なくありません。
甲状腺機能低下症 ― 心臓の働きが弱くなる
一方で、甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンが不足します。代表的な原因として橋本病があります。
ホルモンが少なくなると体の代謝が低下し、心臓の働きも弱くなります。主な症状は次の通りです。
- 脈が遅くなる
- 疲れやすい
- むくみ
- 体重増加
- 寒がり
- 集中力低下
心臓への影響としては
- 心拍数の低下
- 心臓の収縮力の低下
- 心不全の悪化
- コレステロール上昇
などが起こることがあります。
特に高齢の方では、原因不明の心不全やむくみの背景に甲状腺機能低下症が隠れていることもあります。
動悸や不整脈の原因として甲状腺を調べることが重要
循環器内科では、動悸や不整脈の原因を調べる際に血液検査で甲状腺ホルモンを測定することがあります。
なぜなら、甲状腺の異常が原因の場合、心臓だけを治療しても根本的な改善につながらないからです。
例えば
- 心房細動の原因が甲状腺機能亢進症だった
- 徐脈やむくみの原因が甲状腺機能低下症だった
というケースは珍しくありません。
心臓と甲状腺は密接に関係しているため、両方を総合的に評価することが大切です。
次のような症状があれば医療機関へ
次のような症状が続く場合は、心臓や甲状腺の病気が隠れている可能性があります。
- 動悸が続く
- 脈が速い・遅い
- 不整脈を感じる
- 原因不明の疲れやすさ
- 息切れ
- むくみ
- 急な体重変化
「ただの疲れかな」と思っていても、甲状腺疾患や不整脈が見つかることもあります。
気になる症状がある場合は、早めに医療機関で相談することが大切です。
まとめ
甲状腺は小さな臓器ですが、心臓の働きに大きな影響を与えます。
甲状腺機能亢進症
- 動悸
- 頻脈
- 心房細動などの不整脈
甲状腺機能低下症
- 徐脈
- 心機能低下
- 心不全悪化
このように、心臓と甲状腺の病気は密接に関係しています。
動悸や不整脈、息切れなどの症状がある場合には、心臓だけでなく甲状腺の異常が隠れていないかを確認することも重要です。
当クリニックでは、動悸・不整脈・息切れなどの症状に対し、心電図検査や血液検査などを行い、原因を総合的に評価しています。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
