- 2026年5月9日
- 2026年4月19日
その動悸、大丈夫ですか?心房細動の初期症状・原因・治療を専門医が解説
「脈がバラバラする」「急にドキドキする」「健康診断で不整脈を指摘された」――このような症状や指摘の背景に、心房細動という不整脈が隠れていることがあります。心房細動は年齢とともに増える病気で、日本でも患者数は増加しています。放置すると脳梗塞や心不全の原因になるため、早めの診断と適切な治療が大切です。
今回は、循環器クリニックとして地域の皆さまに知っていただきたい「心房細動」について、わかりやすく解説します。
心房細動とは?
心臓は通常、規則正しい電気信号によって一定のリズムで動いています。しかし心房細動では、心臓の上の部屋である「心房」が細かく震え、電気信号が乱れることで、脈が不規則になります。
その結果、
- 脈が速くなる
- 脈がバラバラになる
- 心臓が効率よく血液を送れなくなる
といった状態になります。
特に高齢の方に多く、加齢に伴って増加する代表的な不整脈です。
心房細動の主な症状
心房細動では、症状がはっきり出る方もいれば、まったく自覚症状がない方もいます。
よくある症状は以下の通りです。
- 動悸(ドキドキする、胸がざわつく)
- 息切れ
- 疲れやすい
- 胸の違和感
- めまい
- ふらつき
- 脈が飛ぶ感じ
「少し疲れているだけ」と思って見過ごされることも少なくありません。健診の心電図や家庭用血圧計の脈の乱れ表示で見つかることもあります。
心房細動が危険な理由 ― 脳梗塞との関係
心房細動で最も注意すべき合併症は、脳梗塞です。
心房が細かく震えると、心房の中で血液がよどみ、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。この血栓が脳の血管に飛ぶと、脳梗塞を起こします。
心房細動による脳梗塞は、
- 突然起こる
- 重症になりやすい
- 後遺症が残りやすい
という特徴があります。
そのため、症状が軽くても「脳梗塞予防」が非常に重要です。
心房細動の原因・なりやすい人
心房細動はさまざまな要因で起こります。
主な原因・危険因子
- 加齢
- 高血圧
- 糖尿病
- 心不全
- 狭心症・心筋梗塞
- 弁膜症
- 肥満
- 睡眠時無呼吸症候群
- 飲酒(特に多量飲酒)
- 喫煙
- 甲状腺機能亢進症
生活習慣病と深く関わっているため、日頃の健康管理が予防につながります。
心房細動の検査
当院のような循環器クリニックでは、以下のような検査で診断します。
心電図検査
その場で心房細動が出ていれば診断可能です。
24時間ホルター心電図
発作的に起こる心房細動を見つけるために行います。
心エコー検査
心臓の大きさや弁膜症、心機能低下の有無を確認します。
血液検査
甲状腺機能や腎機能など、治療方針に関わる項目を調べます。
心房細動の治療法
治療は患者さん一人ひとりの年齢、症状、持病、生活背景に合わせて選択します。
1. 脳梗塞予防(抗凝固薬)
血栓を防ぐ「血液を固まりにくくする薬」を使用します。これにより脳梗塞リスクを大きく減らせます。
2. 脈を整える治療
- 脈拍を抑える薬
- リズムを整える薬
症状や心機能に応じて選択します。
3. カテーテルアブレーション
薬で改善しない場合や再発を繰り返す場合には、専門病院と連携しカテーテル治療をご紹介します。
4. 原因疾患の治療
高血圧、肥満、睡眠時無呼吸症候群などを改善することも非常に重要です。
日常生活で気をつけること
心房細動の悪化予防には生活習慣の見直しも欠かせません。
- 血圧管理
- 減塩
- 適度な運動
- 体重管理
- 禁煙
- 節酒
- 十分な睡眠
- ストレス管理
とくに飲酒後に発作が起こる方は注意が必要です。
このような方はご相談ください
- 動悸がある
- 脈が乱れる
- 息切れしやすい
- 健診で不整脈を指摘された
- 血圧計で脈不整と表示された
- ご家族に心房細動の方がいる
早期発見により、脳梗塞や心不全を防げる可能性があります。
地域の皆さまへ
心房細動は珍しい病気ではなく、誰にでも起こりうる不整脈です。しかし、正しく診断し、適切に治療すれば過度に恐れる必要はありません。
当院では、患者さま一人ひとりに寄り添い、症状や生活背景を大切にしながら診療を行っています。動悸や脈の乱れが気になる方、健康診断で指摘を受けた方は、お気軽にご相談ください。早期発見・早期治療が、将来の脳梗塞予防につながります。
