- 2026年6月6日
- 2026年5月17日
【脈が飛ぶ・脈が抜ける感じ】それ、不整脈かもしれません ― 脈とび症状・脈欠損感について循環器専門医が解説
「急にドキッとする」「脈が一瞬止まったように感じる」「心臓が抜ける感じがする」「心臓がときどき大きく鼓動する」——このような症状を経験したことはありませんか?
患者さんから外来でよく聞かれる症状の一つが、“脈とび”や“脈欠損感(みゃくけっそんかん)”です。
「疲れているだけかな」「ストレスのせいかも」と様子を見てしまう方も多いですが、中には治療が必要な不整脈が隠れていることもあります。
今回は、脈とび症状の原因、不整脈との関係、受診の目安、ホルター心電図検査の重要性について、循環器内科医の立場からわかりやすく解説します。
脈とび症状・脈欠損感とは?
「脈が飛ぶ」「脈が抜ける感じ」とは、心臓のリズムが一時的に乱れている状態を自覚している症状です。
患者さんによって表現はさまざまで、
- 「心臓がドクンと大きく打つ」
- 「一瞬止まる感じがする」
- 「胸がヒヤッとする」
- 「脈が飛んだ後に強く打つ」
- 「不安になる感じがする」
などと訴えられます。
医学的には、この症状の多くが「期外収縮(きがいしゅうしゅく)」という不整脈によって起こります。
脈とびの原因の多くは「期外収縮」
通常、心臓は規則正しく拍動しています。しかし、時々予定外のタイミングで心臓が収縮することがあります。これが「期外収縮」です。
① 上室性期外収縮
心房側で起こる脈とびです。
比較的よくみられ、健康な人でも起こることがあります。加齢、睡眠不足、ストレス、カフェイン、アルコールなどで増えることがあります。
② 心室性期外収縮
心室から発生する脈とびです。
こちらも良性の場合が多いですが、頻度が多い場合や基礎心疾患がある場合には注意が必要です。
特に以下の病気が背景にある場合は慎重な評価が必要です。
- 心不全
- 狭心症・心筋梗塞
- 心筋症
- 弁膜症
- 高血圧性心疾患
「脈が飛ぶ感じ」があっても、実際には危険性の低いケースも多いため、必要以上に不安になる必要はありません。ただし、自己判断は禁物です。
なぜ「脈が止まった感じ」がするの?
患者さんからよく、
「脈が止まった気がして怖いです」
と言われます。
実は、多くの場合は心臓が止まっているわけではありません。
期外収縮が起こると、通常より早いタイミングで心臓が拍動するため、十分に血液を送り出せません。その後、心臓は少し休憩時間(代償性休止)を作ります。
この「少し間が空く感覚」が、脈が抜けた・止まったように感じる原因です。
その次の拍動では血液がしっかりたまるため、
“ドクン”と強く打つ感覚・心臓が大きく鼓動する感覚
を感じることがあります。
つまり、
「脈が飛ぶ → 少し間が空く → 強く打つ」
という流れが症状の正体であることが多いのです。
ストレスや生活習慣も関係します
脈とび症状は、生活習慣によって悪化することがあります。
以下のような要因は不整脈を増やしやすくなります。
睡眠不足
自律神経が乱れ、不整脈が出やすくなります。
ストレス・疲労
交感神経が優位になり、脈とびを感じやすくなります。
カフェイン
コーヒー、エナジードリンク、濃いお茶などの摂りすぎは影響することがあります。
アルコール
飲酒後や翌日に脈が乱れる方も少なくありません。
喫煙
ニコチンは心臓への刺激となり、不整脈リスクを高めます。
こんな症状がある場合は要注意
以下の症状を伴う場合は、早めの受診をおすすめします。
- 動悸が長時間続く
- 胸痛を伴う
- 息切れがある
- めまい・失神がある
- 運動時に悪化する
- 家族に突然死の既往がある
また、
「健康診断で不整脈を指摘された」
という方も、症状がなくても一度循環器内科での評価が望まれます。
心電図だけでは分からないことがあります
「病院で心電図をしたけれど異常なしでした」
という方は少なくありません。
実は、通常の心電図検査は数秒〜十数秒程度しか記録しません。
そのため、検査中に症状が出なければ見つからないことがあります。
そこで重要になるのが、
ホルター心電図検査です
ホルター心電図とは、小型の心電図装置を24時間装着し、日常生活中の心電図を記録する検査です。
ホルター心電図で分かること
- 脈とびの正体
- 不整脈の種類
- 発生回数
- 危険性の評価
- 症状と不整脈の関連
例えば、
「胸がドキッとした時間」に実際に何が起こっていたかを確認できます。
症状があるのに心電図で異常が見つからない場合でも、ホルター心電図で初めて原因が判明するケースは非常に多いです。
最近では、装着時の違和感が少ないタイプも増えており、入浴制限が少ない機器もあります。
脈とび=すぐ危険、ではありません
「不整脈」と聞くと怖い印象を持つ方も多いですが、脈とびの多くは命に関わるものではありません。
一方で、背景に心臓病が隠れているケースや、心房細動など脳梗塞リスクにつながる不整脈が見つかることもあります。
特に、
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 喫煙歴
- 心疾患の既往
がある方では、より丁寧な評価が重要です。
「年齢のせいかな」で済ませず、症状が続く場合は一度相談していただきたいと思います。
まとめ|脈とび症状は“記録すること”が大切です
脈が飛ぶ感じや脈欠損感は、多くの場合は良性の不整脈ですが、中には治療が必要なケースもあります。
症状があっても、診察室で心電図をした時に異常が出ないことは珍しくありません。
だからこそ、
「いつ起きているか」「どんな時に出るか」を確認できるホルター心電図検査が重要になります。
「脈が飛ぶ感じがする」
「胸がドキッとして不安」
「健診で不整脈を指摘された」
そんな時は、どうぞ我慢せずご相談ください。
当クリニックでは、患者さん一人ひとりの症状に寄り添いながら、必要に応じてホルター心電図や心エコー検査を行い、不整脈の原因を丁寧に評価しています。
安心して日常生活を送るためにも、早めの確認が大切です。