- 2026年7月4日
- 2026年7月12日
血液をサラサラにする薬はなぜ必要?抗血栓薬の効果と注意点
「血液をサラサラにする薬を飲んでいます」
循環器内科を受診される患者さんからよく聞く言葉です。しかし、「なぜ飲んでいるのかはよく分からない」「出血が怖いので自己判断で休薬している」という方も少なくありません。
抗血栓薬は、脳梗塞や心筋梗塞など命に関わる病気を予防するための重要な薬です。一方で、飲み方を誤ると重大なトラブルにつながることもあります。
今回は、抗血栓薬の必要性と服用時の注意点について、わかりやすく解説します。
抗血栓薬とは?
私たちの血液には、出血した際に血を固める「止血機能」が備わっています。しかし、この仕組みが血管の中で過剰に働くと「血栓(血のかたまり)」ができてしまいます。
血栓が血管を詰まらせると、
- 脳の血管が詰まる → 脳梗塞
- 心臓の血管が詰まる → 心筋梗塞
- 足の血管が詰まる → 下肢動脈閉塞症
- 肺の血管が詰まる → 肺血栓塞栓症
などの重い病気を引き起こします。
抗血栓薬は、この血栓ができるのを防ぐ薬です。
抗血栓薬には2種類ある
抗血栓薬は大きく分けて次の2種類があります。
① 抗血小板薬
血小板の働きを抑える薬です。
代表的な薬には、
- アスピリン
- クロピドグレル
- プラスグレル
などがあります。
主に、
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 冠動脈ステント治療後
- 頸動脈疾患
などで使用されます。
② 抗凝固薬
血液を固める働きを抑える薬です。
代表的な薬には、
- ワルファリン
- アピキサバン
- エドキサバン
- リバーロキサバン
- ダビガトラン
などがあります。
主に、
- 心房細動
- 深部静脈血栓症
- 肺血栓塞栓症
などで処方されます。
心房細動で抗凝固薬が必要な理由
循環器内科で最もよく処方される抗血栓薬の一つが、心房細動に対する抗凝固薬です。
心房細動になると心房が細かく震え、血液の流れがよどみます。
すると心房内に血栓ができやすくなり、その血栓が脳へ飛ぶと脳梗塞を起こします。
心房細動による脳梗塞は、
- 突然発症する
- 重症化しやすい
- 後遺症が残りやすい
という特徴があります。
抗凝固薬は、この脳梗塞を大幅に減らすことができるため、非常に重要な治療です。
狭心症や心筋梗塞で抗血小板薬が必要な理由
心臓の血管(冠動脈)に動脈硬化があると、血管の内側に血栓ができやすくなります。
特にステント治療を受けた患者さんでは、ステントの中に血栓ができると再び血管が詰まり、重篤な心筋梗塞を起こす危険があります。
そのため、
- アスピリン
- クロピドグレル
などを継続して服用することが重要になります。
「血液サラサラ薬」は勝手にやめてはいけません
患者さんからよく聞くのが、
「歯を抜くので数日前からやめました」
「鼻血が出たので飲むのをやめました」
というお話です。
しかし、自己判断で休薬すると血栓ができるリスクが急激に高まることがあります。
特に、
- 心房細動
- ステント治療後
- 脳梗塞の既往
がある方では注意が必要です。
休薬が必要かどうかは病気の種類や薬剤によって異なります。
必ず主治医に相談してください。
抗血栓薬を飲んでいる人が注意すること
出血しやすくなる
最も重要な副作用は出血です。
次のような症状がある場合は受診しましょう。
- 黒い便
- 血尿
- 吐血
- 長時間止まらない鼻血
- 大きな皮下出血
- 強い頭痛
お薬手帳を携帯する
救急受診や他科受診の際には、抗血栓薬を飲んでいることを必ず伝えてください。
お薬手帳の携帯をおすすめします。
市販薬にも注意
解熱鎮痛薬の一部は出血リスクを高めることがあります。
市販薬を購入する際は薬剤師に相談し、「抗血栓薬を服用中」と伝えましょう。
手術や歯科治療の前には必ず相談
抜歯や内視鏡検査、手術などでは休薬が必要になることがあります。
一方で、休薬すると血栓リスクが高まる場合もあります。
主治医と担当医が連携して判断することが大切です。
よくある誤解
「血液がドロドロだからサラサラにする薬」
と思われている方がいますが、抗血栓薬は単純に血液を薄める薬ではありません。
血栓ができる仕組みを抑えて、脳梗塞や心筋梗塞を予防する薬です。
そのため、血液検査でコレステロールが改善したからといって、勝手に中止してよい薬ではありません。
まとめ
抗血栓薬は、脳梗塞や心筋梗塞などの重い病気を予防するために欠かせない治療です。
一方で、出血のリスクも伴うため、正しい知識を持って服用することが大切です。
- 自己判断で中止しない
- 出血症状に注意する
- 手術や抜歯の前は主治医に相談する
- お薬手帳を携帯する
これらを心がけることで、安全に治療を続けることができます。
当院では、心房細動、狭心症、心筋梗塞後の患者さんに対して、抗血栓薬の必要性や副作用について丁寧に説明しながら診療を行っています。
「本当に飲み続ける必要があるの?」「出血が心配」といった疑問がありましたら、お気軽にご相談ください。
