- 2026年5月23日
- 2026年5月17日
脂質異常症は症状なしで進行します|頸動脈エコーでわかる動脈硬化
健康診断で「コレステロールが高いですね」「脂質異常症の疑いがあります」と言われ、不安になったことはありませんか?
以前は「高脂血症」という言葉が使われていましたが、現在は「脂質異常症」が正式な病名です。
しかし、「高コレステロール血症と何が違うの?」「薬を飲めば大丈夫?」「動脈硬化は調べられるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
今回は、脂質異常症・高コレステロール血症・高脂血症の違い、さらに頸動脈エコーによる動脈硬化チェックの重要性について、循環器専門医の立場からわかりやすく解説します。
脂質異常症とは?
脂質異常症とは、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)のバランスが崩れた状態です。具体的には次のいずれかに当てはまります。
- LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い
- HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い
- 中性脂肪(トリグリセリド)が高い
これらの異常は、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞・狭心症・脳梗塞の原因になります。
高コレステロール血症・高脂血症・脂質異常症の違い
1. 高コレステロール血症
高コレステロール血症とは、血液中のコレステロール値、特にLDLコレステロールが高い状態を指します。
ただし、中性脂肪やHDLコレステロール低下までは含まれません。
2. 高脂血症
高脂血症は以前使われていた名称で、「血液中の脂質が高い状態」という意味です。
しかし、HDLコレステロールが低い状態は「高い」わけではないため、この名称では不十分でした。
3. 脂質異常症
現在の正式名称が脂質異常症です。
- LDL高値
- HDL低値
- 中性脂肪高値
これらをまとめて評価できる、より正確な病名です。
つまり、
- 高コレステロール血症=一部の状態
- 高脂血症=旧名称
- 脂質異常症=現在の正式名称
と理解するとわかりやすいでしょう。
脂質異常症が怖い理由
脂質異常症は自覚症状がほとんどありません。
しかし、血管の内側では静かに動脈硬化が進行します。
その結果、
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 脳梗塞
- 足の血流障害(閉塞性動脈硬化症)
など重大な病気を引き起こします。
「症状がないから大丈夫」は非常に危険です。
健診の数値だけではわからないことがある
健康診断でLDLコレステロールが少し高い程度でも、
- 実際には動脈硬化がかなり進んでいる方
- 家族歴があり若くして血管病変がある方
- 糖尿病や高血圧を合併している方
も少なくありません。
逆に、数値が高くても血管の変化がまだ軽い方もいます。
つまり、採血データだけでなく、実際の血管の状態を確認することが大切です。
頸動脈エコー検査が重要な理由
頸動脈エコーは、首の血管(頸動脈)を超音波で観察し、動脈硬化の進み具合を調べる検査です。
頸動脈は全身の血管の状態を反映しやすく、心臓や脳の血管リスク評価にも役立ちます。
頸動脈エコーでは、
- 血管壁の厚み(IMT)
- プラーク(コレステロールの塊)の有無
- 血管の狭窄
- 血流状態
などを確認できます。
頸動脈エコーをおすすめしたい方
- 健診で脂質異常症を指摘された
- LDLコレステロールが高い
- 高血圧・糖尿病がある
- 喫煙歴がある
- 家族に心筋梗塞・脳梗塞が多い
- 薬を始めるべきか迷っている
- 治療効果を見える形で確認したい
このような方には特に有用です。
検査は痛くありません
頸動脈エコーは、
- 放射線被ばくなし
- 注射なし
- 痛みなし
- 15分程度
で行える安全な検査です。
外来で気軽に受けられるのも大きな利点です。
脂質異常症の治療
治療の基本は、
1. 食事改善
- 揚げ物・脂質過多を減らす
- 野菜・魚・大豆製品を増やす
- 食べ過ぎを防ぐ
2. 運動習慣
- ウォーキング
- 自転車
- 軽い筋トレ
3. 薬物療法
必要に応じてスタチンなどの内服治療を行います。
頸動脈エコーでプラークがある場合は、より積極的な治療が必要になることもあります。
当クリニックでできること
当クリニックでは、
- 採血による脂質評価
- 動脈硬化リスク評価
- 頸動脈エコー検査
- 心電図・心エコー
- 食事・運動指導
- 薬物治療
を行っています。
「コレステロールが高いと言われたが放置している」
「本当に薬が必要かわからない」
そのような方はお気軽にご相談ください。
まとめ
- 高コレステロール血症=コレステロール高値
- 高脂血症=旧名称
- 脂質異常症=現在の正式名称
脂質異常症は症状がなくても、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。
健診結果だけでなく、頸動脈エコーで血管年齢・動脈硬化の状態を確認することが重要です。
将来の大きな病気を防ぐために、早めのチェックと治療を始めましょう。
