• 2026年10月17日
  • 2026年9月23日

その足のむくみ、原因を調べていますか?心臓・血管・体内の水分から考える「むくみの検査」

「夕方になると靴がきつくなる」

「靴下の跡がなかなか消えない」

「足がむくんでいるけれど、何科を受診すればよいかわからない」

このようなお悩みはありませんか?

当クリニックのブログでは、これまでに掲載した記事の中で「むくみ」に関する記事が最も多く読まれています。それだけ、むくみを気にされている方が多いのだと思います。

むくみは、医学的には「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれ、血管の外側にある組織に余分な水分がたまった状態です。

長時間の立ち仕事や座り仕事によって生じることもありますが、心不全や腎臓病、血管の病気などが隠れていることもあります。大切なのは、むくみを単に解消することではなく、なぜむくんでいるのかを明らかにすることです。

今回は、当クリニックで実施している検査を中心に、むくみの評価方法について解説します。

1.むくみの診察では、まず何を確認するのか?

むくみの原因を考える際、医師はまず「むくみ方」に注目します。

特に重要なのは、左右の違いと、むくみが出現するまでの経過です。

両足がむくむ場合

心不全、腎臓病、肝臓病、薬剤の副作用、静脈の血液循環障害などを考えます。

片足だけがむくむ場合

深部静脈血栓症、静脈の血流障害、リンパ浮腫などを疑います。特に、急に片足が腫れた場合は注意が必要です。

また、朝より夕方に強くなるのか、数日で急に悪化したのか、息切れを伴うのか、といった情報も重要です。

診察では、皮膚を指で押したときにへこみが残るか、左右で太さが違うか、赤みや痛みがあるかを確認します。

さらに、血液検査や尿検査によって、心臓・腎臓・肝臓の機能、血液中のタンパク質、甲状腺機能などを調べ、原因を絞り込んでいきます。

2.心臓が原因のむくみを調べる「心エコー図検査」

両足のむくみで、循環器内科医が特に注意する病気の一つが「心不全」です。

心不全は、心臓の働きが悪くなり、全身に必要な血液を十分に送り出せなくなったり、血液が心臓に戻りにくくなったりする状態です。

その結果、体内に水分がたまり、足のむくみや息切れ、体重増加などが現れることがあります。

当クリニックでは、心不全が疑われる患者さんに対し、必要に応じて心エコー図検査を実施しています。

心エコー図検査では、心臓の動きを超音波で観察し、心臓の収縮機能、拡張機能、心臓弁の異常などを詳しく調べることができます。

ここで知っていただきたいのは、心臓の収縮する力が正常でも、心不全が存在する場合があるということです。

心臓が硬くなり、血液を十分に受け入れられなくなる「拡張機能障害」などでも心不全が生じます。

そのため、単に心臓の動きが良いか悪いかを見るだけでは不十分です。

当クリニックでは、心エコー図検査に加えて、心不全の指標となるBNPやNT-proBNPなどの血液検査も組み合わせ、総合的に判断しています。

3.片足だけのむくみは要注意!「下肢静脈エコー検査」

「昨日まで何ともなかったのに、急に右足だけが腫れてきた」

このような場合に注意しなければならないのが、「下肢深部静脈血栓症」です。

足の深いところを走る静脈に血の塊(血栓)ができ、血液の流れが妨げられる病気です。

血栓が肺に移動すると、肺の血管が詰まる「肺血栓塞栓症」を引き起こす危険性があります。

当クリニックでは、下肢静脈エコー検査によって静脈内の血栓の有無を確認します。必要に応じて血液検査なども組み合わせて評価します。

突然の片足の腫れや痛み、熱感が出現した場合は、当日中に医療機関を受診してください。突然の強い息切れ、胸痛、失神などを伴う場合は、救急車を呼ぶ必要があります。

4.むくみを「数値」で評価するInBody380

ここまで、むくみの原因を調べる検査について説明しました。

では、むくみがどの程度あるのかを客観的に評価する方法はあるのでしょうか?

実は、むくみを数値で評価する方法があります。

当クリニックでは、体成分分析装置「InBody380」を導入しています。

InBody380は、体脂肪量や筋肉量だけでなく、体内の水分量や「細胞外水分比(ECW/TBW)」を測定できる装置です。

細胞外水分比とは?

私たちの体の水分は、細胞の内側にある水分と、細胞の外側にある水分に分けられます。

細胞外水分比は、体全体の水分量のうち、細胞の外側にある水分が占める割合です。

一般的には0.380前後が目安で、0.400を超える場合には高い値と評価されます。

むくみが強くなると、この数値が上昇することがあります。

例えば、診察時にはっきりとしたむくみが確認できなくても、定期的に測定することで体内の水分バランスの変化を把握する参考になります。

ただし、この数値は加齢や筋肉量の低下などによっても上昇します。数値だけでむくみの原因を診断したり、心不全と判断したりすることはできません。

当クリニックでは、体重の変化や診察所見、心エコー図検査などの結果と組み合わせ、むくみを総合的に評価します。

なお、ペースメーカーや植込み型除細動器を使用されている方は、InBodyによる測定を行いません。

5.むくみの原因がわかれば、治療方法も変わる

むくみがあるからといって、すべての患者さんに利尿薬が必要なわけではありません。

心不全による体液貯留であれば利尿薬などの治療が必要になる場合がありますが、薬剤の副作用が原因であれば処方の見直し、静脈の循環障害であれば適切な圧迫療法などを検討します。

圧迫療法にも適応や注意点があり、自己判断で始めるのではなく、まず原因を確認することが大切です。

まとめ:むくみは体からの大切なサインです

むくみは日常的によく経験する症状ですが、その背景にはさまざまな病気が隠れている可能性があります。

当クリニックでは、問診・診察・血液検査に加え、心エコー図検査、下肢静脈エコー検査、InBody380などを活用して、むくみの原因と程度を評価しています。

「いつものことだから」「年齢のせいだから」と自己判断せず、むくみが続く場合や、以前より悪化している場合は、ぜひご相談ください。

むくみの原因を正しく知ることが、適切な治療への第一歩です。

おおにし心臓クリニック 内科・循環器内科 079-287-9616 ホームページ