• 2026年8月8日
  • 2026年7月19日

心臓病・高血圧でもお風呂やサウナに入っていい?循環器専門医が教える安全な入浴方法

「血圧が高いのですが、お風呂は入っても大丈夫ですか?」
「心臓病がありますが、温泉旅行へ行ってもいいでしょうか?」
「最近サウナが流行っていますが、心臓には悪くありませんか?」

循環器内科の外来では、このような質問を毎日のように受けます。

入浴やサウナには、身体を温めて血流を改善し、疲労回復やリラックス効果を得られるという大きなメリットがあります。一方で、入浴中は血圧や脈拍、水分量が大きく変化するため、心臓や血管には一定の負担がかかります。

しかし、必要以上に心配する必要はありません。心臓病や高血圧があっても、正しい入り方を知れば、多くの方は安全に入浴を楽しむことができます。

今回は、患者さんからよくいただく質問にお答えしながら、安全な入浴方法とサウナの利用についてご紹介します。


入浴すると心臓にはどんな変化が起こるのでしょうか?

お湯につかると体温が上昇し、皮膚の血管が広がります。その結果、血圧は徐々に下がり、体温を逃がそうとして心拍数は少し増えます。

さらに、湯船の水圧によって足にたまっていた血液が心臓へ戻りやすくなり、心臓は通常より多くの血液を送り出すことになります。

健康な方では問題ありませんが、

  • 心不全
  • 重症の弁膜症
  • 最近の心筋梗塞
  • コントロール不良の高血圧

では、この変化が負担になることがあります。

だからといって「入浴してはいけない」というわけではありません。心臓への負担を少なくする入り方を心掛けることが重要です。


冬は「ヒートショック」に注意しましょう

入浴事故が最も多いのは冬です。

暖かい部屋から寒い脱衣所へ移動すると血管が縮み、血圧は急激に上昇します。その状態で熱いお風呂へ入ると今度は血管が急に広がり、血圧が低下します。

この急激な血圧変動を「ヒートショック」と呼びます。

ヒートショックは

  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 脳卒中
  • 不整脈
  • 失神

の原因になることがあります。

特に高齢者、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、心臓病のある方は注意が必要です。


脱衣所を暖かくすることが最大の予防です

患者さんには、「お風呂より脱衣所の方が危険です」とお話ししています。

安全な入浴のためには

  • 脱衣所を18~20℃程度に暖める
  • 浴室もシャワーで温めておく
  • 急いで服を脱がない
  • 42℃以上の熱いお湯は避ける

ことが重要です。

冬場は小型ヒーターなどを利用し、寒暖差をできるだけ小さくしましょう。


夏は脱水に注意しましょう

夏はヒートショックの危険は少なくなりますが、脱水が問題になります。

汗をかいた状態で入浴するとさらに水分が失われ、

  • 血液が濃くなる
  • 血圧が下がる
  • 腎機能が悪化する
  • 心不全が悪化する

ことがあります。

入浴前後にはコップ1杯程度の水分補給をおすすめします。


心臓にやさしい入浴方法

循環器内科では次のような入浴方法をおすすめしています。

  • お湯は38~40℃
  • 入浴時間は10~15分程度
  • 半身浴もおすすめ
  • 飲酒後は入浴しない
  • 空腹時や極端な満腹時は避ける
  • 体調が悪い日は無理をしない
  • 家族が在宅している時間帯に入浴する

「熱いお風呂に短時間」よりも、「少しぬるめのお湯にゆっくり」が心臓には優しい入り方です。


サウナは入っても大丈夫?

最近は健康目的でサウナを利用される方も増えています。

サウナそのものが心臓に悪いというわけではありません。

しかし、サウナでは体温上昇と大量の発汗によって、

  • 心拍数の増加
  • 血圧の変化
  • 脱水

が起こります。

健康な方では問題ないことが多いですが、

  • 心不全
  • 最近の心筋梗塞
  • 不安定狭心症
  • 重症弁膜症
  • コントロール不良の不整脈

では利用を控えることをおすすめします。

また、高血圧の治療中でも血圧が安定しており症状がない方では、主治医と相談のうえ利用できる場合があります。


「ととのう」は心臓には負担になることがあります

サウナ後に冷たい水風呂へ入る習慣があります。

しかし、この急激な温度変化によって血管が急速に収縮し、血圧が大きく変動します。

健康な若い方では問題にならないことが多いものの、高齢者や心臓病のある方では心筋梗塞や不整脈の誘因となる可能性があります。

無理に冷たい水風呂へ入る必要はありません。

サウナ後は、室温でゆっくり身体を冷ます「外気浴」の方が心臓への負担は少なく、安全です。


サウナを利用するなら守ってほしいポイント

もし主治医から特に制限を受けていない場合は、

  • 長時間入らない(5~10分程度)
  • 水分補給を十分行う
  • アルコール後は利用しない
  • 水風呂は無理をしない
  • めまい、胸痛、息切れ、動悸があればすぐ中止する

ことを心掛けましょう。


入浴後にも注意しましょう

入浴後は血圧が下がった状態が続きます。

急に立ち上がると立ちくらみを起こすことがあります。

  • 浴槽からゆっくり出る
  • 少し座ってから立つ
  • 水分補給をする
  • 入浴直後の飲酒は避ける

ことをおすすめします。


「自分は入浴しても大丈夫?」と迷ったら

多くの心臓病患者さんは、安全な方法であれば入浴できます。

しかし、

  • 胸痛が続く
  • 息切れが急に悪化した
  • 心不全で治療中
  • 不整脈の症状が強い
  • 血圧が極端に高い、または低い

といった場合には、自己判断せず主治医へ相談してください。

当院では、患者さん一人ひとりの病状や内服薬、生活習慣を踏まえ、「お風呂は何℃がよいか」「温泉旅行は可能か」「サウナを利用してもよいか」などについて具体的にアドバイスしています。


まとめ

入浴やサウナは、正しく利用すれば心身のリフレッシュにつながります。しかし、心臓病や高血圧のある方では、急激な温度変化や脱水が心臓への負担となるため注意が必要です。

安全に楽しむポイントは、

  • 38~40℃のぬるめのお湯
  • 冬は脱衣所を暖める
  • 入浴前後の十分な水分補給
  • サウナは短時間・無理をしない
  • 水風呂への急な入水は避ける
  • 胸痛や息切れ、動悸があれば中止する

ことです。

「自分の病気でも入浴してよいのか」「サウナや温泉は利用できるのか」と不安な方は、お気軽にご相談ください。当院では循環器専門医として、一人ひとりの病状に合わせた安全な生活習慣について丁寧にアドバイスしています。

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