• 2026年7月11日
  • 2026年7月12日

閉経後に増える心臓病リスクとは?女性が知っておきたい心臓と血管の健康

「閉経してから血圧が高くなった」「健康診断でコレステロール値が上がったと言われた」「以前より動悸や息切れが気になる」

このような変化を感じている女性は少なくありません。

実は、閉経は女性の心臓や血管の健康に大きな影響を与える重要な転機です。女性は男性に比べて若い頃は心筋梗塞や狭心症になりにくいことが知られていますが、閉経後になるとその差が徐々に小さくなり、心血管疾患のリスクが高まります。

今回は、閉経と循環器疾患の関係について、わかりやすく解説します。

閉経とは?

閉経とは、月経が永久に停止した状態を指します。一般的には50歳前後で迎えることが多く、最後の月経から1年間月経がなければ閉経と診断されます。

閉経の前後には、更年期と呼ばれる時期があり、ほてり(ホットフラッシュ)、発汗、不眠、気分の落ち込みなどさまざまな症状が現れることがあります。

これらの変化の背景には、女性ホルモンであるエストロゲンの減少があります。

女性ホルモンは心臓と血管を守っている

エストロゲンには、単に妊娠や出産に関わるだけでなく、心臓や血管を守る働きがあります。

例えば、

  • 血管をしなやかに保つ
  • 動脈硬化を抑える
  • 悪玉コレステロール(LDL)を減らす
  • 善玉コレステロール(HDL)を増やす
  • 血圧の上昇を抑える

といった作用があります。

そのため閉経前の女性は、同年代の男性に比べて心筋梗塞や脳梗塞が少ない傾向があります。

しかし閉経によってエストロゲンが減少すると、こうした保護作用が弱くなり、徐々に動脈硬化が進みやすくなります。

閉経後に増える循環器疾患

高血圧

閉経後は血圧が上昇しやすくなります。

高血圧は自覚症状がほとんどありませんが、放置すると心不全、心筋梗塞、脳卒中などの重大な病気につながります。

「今まで血圧は正常だったから大丈夫」と思わず、定期的な血圧測定を心がけましょう。

脂質異常症

閉経後は悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が増加しやすくなります。

LDLコレステロールが高い状態が続くと、血管の壁にコレステロールが蓄積し、動脈硬化が進行します。

健康診断で「コレステロールが高い」と指摘された場合は、そのまま放置せず医療機関に相談することが大切です。

狭心症・心筋梗塞

動脈硬化が進行すると、心臓の血管(冠動脈)が狭くなり、狭心症や心筋梗塞を引き起こします。

女性の心筋梗塞は、男性ほど典型的な症状が出ないことがあります。

女性に多い症状

  • 胸の違和感
  • 背中の痛み
  • 肩やあごの痛み
  • 息切れ
  • 強い疲労感
  • 吐き気

「胃の調子が悪いだけかな」「更年期の症状かな」と見過ごされることも少なくありません。

症状が続く場合は循環器内科への受診をおすすめします。

心不全との関係

高血圧や動脈硬化が長期間続くと、心臓に負担がかかり、心不全につながることがあります。

心不全とは、心臓の働きが低下して十分な血液を送り出せなくなった状態です。

代表的な症状は、

  • 階段で息切れする
  • 足がむくむ
  • 疲れやすい
  • 横になると息苦しい

などです。

閉経後の女性では、心臓の収縮力は保たれていても心臓が硬くなり、十分に拡張できなくなるタイプの心不全(HFpEF)が増えることが知られています。

更年期症状と心臓病は区別が難しいことも

更年期には、

  • 動悸
  • 息切れ
  • 発汗
  • めまい
  • 胸の不快感

などが現れることがあります。

一方で、これらは不整脈や心不全などの循環器疾患でもみられる症状です。

「更年期だから仕方ない」と決めつけてしまうと、本当は心臓の病気が隠れていても発見が遅れることがあります。

特に、

  • 症状が急に強くなった
  • 階段や坂道で息切れする
  • 胸痛を伴う
  • 失神したことがある

場合は、循環器疾患の可能性も考える必要があります。

閉経後に心臓を守るためにできること

閉経そのものを避けることはできませんが、心血管疾患のリスクを減らすことは可能です。

1. 血圧を測る

家庭血圧を定期的に測定し、異常があれば早めに相談しましょう。

2. 健康診断を受ける

コレステロールや血糖値、腎機能などを定期的に確認することが重要です。

3. 適度な運動

ウォーキングや軽い有酸素運動は血圧や脂質の改善に役立ちます。

4. バランスのよい食事

塩分の摂りすぎを避け、野菜や魚を積極的に取り入れましょう。

5. 禁煙

喫煙は動脈硬化を加速させる最大級の危険因子です。

気になる症状があれば循環器内科へ

閉経は女性の人生における自然な変化ですが、同時に心臓や血管の健康を見直す大切なタイミングでもあります。

閉経後は高血圧や脂質異常症が増え、狭心症、心筋梗塞、心不全などの循環器疾患のリスクが高まります。

「年齢のせい」「更年期だから仕方ない」と思っていた症状の中に、心臓からのサインが隠れていることもあります。

動悸、息切れ、胸の違和感、むくみなどが気になる場合は、早めに循環器内科へご相談ください。

当院では、心電図検査や心エコー検査を活用し、女性の循環器疾患の早期発見・早期治療に努めています。閉経後の健康管理について不安がある方は、お気軽にご相談ください。

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